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「eスポーツ、既存ゲームの人気再燃につながる可能性」

Gzブレイン社長・浜村弘一氏(ファミ通グループ代表)

――今年のゲームショウの目玉

「ゲームを競技と捉えて競う『eスポーツ』が注目
ガンホー・オンライン・エンターテイメントの『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』やカプコンの『モンスターハンター(モンハン)』など、日本でプレーヤー人口が多い家庭用・スマホ向けゲームが対戦に取り上げられる予定

どういった企業がeスポーツ関連として挙げられますか。

 「すでに人気格闘ゲーム『ストリートファイター』を手掛けるカプコンやサッカーゲームなどを展開するコナミホールディングスは海外での実績がある。このほか既存の人気ゲームタイトルを保有する家庭用ゲームメーカーにはeスポーツを通じた人気の再燃が期待でき、ビジネスチャンスが広がるだろう」

 「eスポーツでは大会の開催で、入場料やスポンサー収入、ネットでのチケット販売などを通じ、メーカーにも収入が入る仕組みだ。こうして得た収入を新しいゲームの開発や再投資に振り向ける好循環を生むことは(開発費負担が大きい)ゲームメーカーにとって魅力的だ」

――eスポーツは欧米やアジアではすでに興業として成功している一方、日本ではあまり認知されていません。何が障害でしょうか。

 「日本では大会が開催されても販促イベントの域を出なかった。そこは法規制の影響が大きい。これまで日本でもゲーム愛好家のコミュニティーで大会が開かれてきたが、参加料を集めて一部で賞金を支払うと賭博と見なされたり、メーカーが主催して数千万円の高額賞金をかければ景品表示法違反とみなされたりと、法の壁があった」

 「現状では海外のようにプロのゲーマーが大会出場で活躍したり、専業で食べていくのは難しい。法規制の問題は大きいが、まずはeスポーツの人気を盛り上げ、業界としてその将来性をアピールすることが重要だ」

岡三証券の森田正司・企業調査部長

――今年の東京ゲームショウ(TGS)ではeスポーツが大きなテーマですが、国内市場をどうみていますか。

 「日本でのeスポーツはまだ定義が定まっていない。海外のような一定の賞金をかけてプロ選手が戦い、それを見て楽しむというスポーツのような市場こそがeスポーツだとすれば、まだそこに至っていない」

 「鑑賞するのに人気があるのは人間対人間の対戦型ゲームだ。一方、日本では格闘ゲームなど一部を除き、カプコンの『モンスターハンター』シリーズなど協力型のゲームが人気だ。一般消費者を巻き込み、市場が成立するにはそれに適したコンテンツを作っていく必要がある」
SMBC日興証券の前田栄二シニアアナリスト

――eスポーツを契機として人気が広がりそうな作品はありますか。

 「カプコンの格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズが既に定着している。コナミHDの『ウイニングイレブン』シリーズは(同じサッカーゲームの)米エレクトロニック・アーツ(EA)の「FIFA」シリーズにユーザー人口では圧倒的に劣るが、スマホ版ではEAより技術的に先行した。2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会に向けeスポーツ関連で盛り上がるかもしれない」

 ――これからの参入余地はあるのでしょうか。

 「eスポーツはどちらかといえばパソコンで遊ぶゲーム中心の文化だ。日本はゲーム専用機が主流だったこともあり、まだ海外ほど盛んではない。日本企業に優位性があるのはスマホ向けゲームだ。カードゲームなども潜在能力が高い」